ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第3回
第3回目の今回からは、実際の実習で描かれた学生作品の中から、
下の6点の作例をお借りして、解説を加えて紹介していきます。
モチーフはすべて「片手で一枚のカードを持つ状態」で、
B3画用紙の中央にA3画面枠をとって、
その枠内に鉛筆デッサンしています。

6点それぞれの発想(狙い・制作意図)と構図の効果を
比較しながら詳しく解説していきますが、その前に、
今回はカードの持ち方に対する「発想」や「着眼」について、
まず簡単に比較しておきましょう。

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fig.1の作例は、カードを湾曲させ、全体を円弧で構成しています。
大きく広げよう、膨らまそう、とする「動き」で、
拡張感、膨張感のある印象です。

fig.2は、カードを水平に見据えている点が特徴です。
カードに対して、指の並びは垂直です。
全体にカクカクした直線的・面的な動きを連続させていて、
構築的な印象です。

fig.3は、カードを谷状に湾曲させています。
それに対して、手の甲は山状に盛り上がっています。
手首からカードまで、弓なりに形を連続させながら、
形態の変化を対比させています。

fig.4は、カードを点で支えています。
手は真横に伸びていて、カードが斜めに傾斜し、
床の影がさらに斜めにと、順に緩やかにねじれるように展開させて、
見る者の目を奥へと導いています。
手とカード、そして床に影が、
しなやかに波打つように連続する様子が美しい作品です。

fig.5は、カードを真横から見て、
カードの性格付けを「直線」という要素に集約しています。
それに対して、腕や指は正面を向けて、
前後に重ねるように連続させて、空間感を演出しています。

fig.6は、手首を「逆くの字型」に、強く折り曲げて、
カードを横に引く抜くような動作です。
腕が奥に倒れかかっているのに始まって、
手首を経由し、指、そしてカードに至るまで、
デリケートに面が連続していて立体的です。
各部位の傾斜の連続性が、
見事に「動き」を表しています。

「カードを手に持つ」と言うことは、
カードと手をどのように関わらせるかということが課題になります。
最初の発想は、ごく普通の範囲がよく、
他人と違うことをしようとか、奇をてらう必要はありません。

問題は「演出」です。
作品を見る人に、自分の発想や興味を伝えるために
どのようなことができるかを工夫することが大切で、
そのためのアイデアが、作者の個性となって表れるのです。

それでは次回から、一点ずつ詳しく掘り下げていくことにしましょう。


byヨゾコブ
by yozokobu | 2010-05-09 03:40 | ステップアップ・デッサン
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