ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第6回(作品 no.3)
今回の作品は、手とカードの関わり方や形の変化を
一筋の流れの中に一気にまとめた作品です。
この作品のアイデアは、手の形とカードの形の凹凸を
反転させたところに面白みがあります。

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[アイデア]
手の甲は丸く盛り上がっていて、
中指は関節を折り曲げてさらに迫り上がっています。
それに対してカードは、谷折りに湾曲させて、対比させています。
それらの形の変化を弓なりに連続させていて、
一筆書きのような勢いのある見せ方になっています。(fig.3-1)

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[図と地・シルエット]
シルエットの形は、くびれと広がりを繰り返します。
手首でくびれた形が、親指と小指に沿って広がり、
指先とカードの出会いで、最もくびれています。
この形は主題であるカードと手の関わりの部分=指先に
見る人の目を誘導する効果があります。(fig.3-2)

中指の関節が山なりに曲がっている様子は、
もう少し横から見た方が分かりやすいわけですが、
作者はあえて正面近くからのアングルを選択しています。
それは手やカードの幅の差異を最もよく表すことを
優先しているということです。

[光の設定]
ただこのアングルは立体感を感じさせにくいので、
作者は光の方向に統一感を持たせ、調子の変化を丁寧に再現することで、
全体の形を明瞭にしています。
光の角度の選択に際して、2つのことに配慮しています。

①カードと指の関係が具体的になるように、
影のでき方や調子の変化に配慮しています。
カードの影が中指の爪に落ち、中指の影がカードに落ちていて、
指とカードの関係を具体的に表しています。
②正面近くが暗くなるようにして、
手前に迫り出す部分の抵抗感を高めています。(fig.3-3)

またカード表面の一部をめくって見せていますが、
この小さな面の方向性は非常に的確で、
指との関係・状況をとても明瞭にしています。

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[ポーズ/動き]
手のポーズを考えるとき、関節の位置はとても大切ですが、
この作品のようなアングルでは、指を折り曲げても、
輪郭の角度はそれほど変化して見えないので、より厳密になります。
この作例では関節の位置が慎重に吟味されていることが分かります。
(fig.3-4)

手をモチーフにした時のパースペクティブ(遠近法、透視図法)は、
話が複雑になるので、別の機会に取り上げることにします。
ただ関節の位置がポイントであるという点だけは、
押さえておきたいと思います。
練習する時は、様々なポーズのスケッチを繰り返すことを
お勧めしますが、そのときはいつも、
関節の位置関係を確認することを習慣にするようにしましょう。

次回は非常に画面感覚に優れた作品の1つを紹介します。


byヨゾコブ
by yozokobu | 2010-05-30 10:03 | ステップアップ・デッサン
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