ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第7回(作品 no.4)
今回は画面感覚に優れた作品を紹介します。
真横から現れた手は、しなやかに波打ちながら
画面を横切って伸びています。
視線は腕から指先、カードを経由して、床面の影を伝わり、
背景の奥のほうに導かれます。

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[アイデア]
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手とカード、そして床面が、「点」で触れているのが特徴です。
手と床面、カードはコの字型に配置されています。
対象を見る目の高さは、カードと指先の接点の位置に
固定されているので見やすく、テーマが明解です。(fig,4-1)

どの角度で対象を見るかというアングの設定は、
テーマを伝えるために最初に考えるべき大切なことです。
全体の構造が明瞭になれば、
結果的に描きやすく、見やすい作品になります。

この作品は、緩やかな波打つ動きを反復させていて、
緊密な一体感があります。
面の変化がリズミカルで、手の裏表やカード、
床の面の向きがくるくると軽やかに移り変わっています。(fig,4-2)

[光の設定]
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上からの光が手の甲を照らされています。
そしてうつむいている面は、床からの反射光に照らされています。
正面部分は、上(光源)からの光にも
下からの反射光にも直接は照らされないので、陰って暗い状態です。
(fig,4-3、反射光があたっている部分を青く着色)

このように正面(手前)が暗くなっている場合、
前後関係でいえば、手前が暗く、奥に回り込むほど明るくなります。
この設定は背景に手を加えず、紙の色のまま生かす時には、
立体感をコントロールしやすく、空気感も表現しやすいと言えます。
(fig,4-4、正面方向の面で近景を赤色、中景を黄色の楕円で示す)

[演出]
この作品は、波打つような形を反復させて、
そのリズム感で全体を結びつけています。
手とカード、床面を点で触れさせることで緊張感を演出していますが、
力みのないしなやかなポーズで、とても繊細に仕上げています。
画面の真ん中を背景にすることで、手、カード、床の面が
渦巻きながら連続して、後方へ視線を誘導しています。
画面全体を隙なく生かした秀作です。

さて5作品目となる次回は、面や線と言った造形的な要素に
着目した作品を紹介します。


byヨゾコブ
by yozokobu | 2010-06-06 14:59 | ステップアップ・デッサン
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