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ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第8回(作品 no.5)
B3画用紙の中央にA3画面枠をとり、その枠内に
「カードを持った片手」を配置して描くシリーズの5作品目です。
今回はカードを真横から見るというアイデアの作品を紹介します。
真横と真正面だけの構成でありながら、動きを感じさせる作品です。

ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第8回(作品 no.5)_f0227963_213943100.jpg





[アイデア」
真横から見たカードは、一本の直線という性格に集約されています。
真正面と真横、面と線、明と暗と言った対比で、
全体を構成しています。
側面部分、つまり奥行きを感じさせる面をほとんど扱わず、
面の重なりによって、空間感・距離感を表しています。

[演出]
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カードの影が中指と薬指に落ちていますが、
そのことが2つの点で効果的に働いています。
①カードを表す線が単なる線ではなく、影を落とすほどの高さがある、
 つまり面であることを表している。
②指の部分=前景を暗くまとめて、その奥に重なっている手首との前後関係を
 明瞭にしている。
(手首が明るくなるようにわずかにひねって、手首に光を当てている)(fig.5-1)

この作品では、カードの角度をとても慎重に選んでいます。
また指や腕の角度はカードの延長線上の2点に集まっていて、
高い緊張感で全体をまとめています。(fig.5-2)

[動き、ポーズ]
手首のスナップを利かせるような動作を採用しています。
このアングルは、カードを持っている状態が分かりにくいわけですが、
カードを下からすくい上げるような特徴的な動作を採用しているので、
全体の印象は、いかにもカードを持っているということを
連想させるものになっています。

手に何かを持った状態を描くとき、
それが今回のような道具なら、
何らかの動作を伴わせることを考えましょう。
そうすることで、モチーフの性格を無理なく表すことができれば、
全体の状況を自然な印象に仕上げることにつながります。
また動作を設定することで、状況に臨場感や躍動感が加わります。
手に何かを持っている状況を想定するということは、
何らかのシーン=場面を描くという発想が大切です。

次回はこのシリーズの最後の作品を紹介します。


byヨゾコブ
by yozokobu | 2010-06-14 21:56 | ステップアップ・デッサン
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