ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第9回(作品 no.6)
「片手とカード」のシリーズは、6作品目の今回が最後になります。
この作品はA3画面枠をとって、
その枠内に描くという方法のものではありませんが、
手をデッサンする上で参考になる点が少なくない作品なので紹介します。

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[アイデア]
この作品はカードを引き抜くような動作をモチーフにしたもので、
特殊な発想のものではありませんが、
動きがたいへん自然に演出されています。
何よりアングルが確かなので、量感やスケール感があります。
(アングル:対象を見る角度/観察者と対象との位置的関係)

[演出:アングルと動き]
下のfig.6_1は観察者の目の高さを示したものです。
fig.6_2は、このポーズの中で正面を向いている部分を赤で囲んだものです。
それに対して、青線で囲んだ部分(カードの面)は、
少し見上げることになります。
そして緑で囲った腕の部分は見下しになります。

このポーズは「逆くの字」型に手首を折り曲げながら、
腕を奥に倒して、傾斜をつけています。
この配慮が、全体の動きをとても自然にしながら、
立体的な印象を高めています。
この作例のように腕を前後に傾斜させ、手首にひねりを加えることは、
自然な動作を演出する上では、基本中の基本と言えます。

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[光の演出]
カードを挟んでいる親指と人差し指の間から、
光が内側に差し込んでいますが、
それはとても大切な働きをしています。
光は中指などを照らして陰影をつくり、
その複雑なコントラストが、視線を引きつけ導きます。
また親指の輪郭部(際)の
コントラストの幅を非常に豊かにして、
存在感を際立たせています。

[描写]
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この作品は全体感が緊密です。
たとえば各部の傾斜は、画面右上に集まり、
全体をまとめてます。(fig.6_3)

fig6._4の赤い丸印は特に盛り上がっている部位を示しています。
そして赤い線は代表的な稜線を示しています。
この作品では、
その盛り上がっているポイントの配置に気を配り、
とても良いバランスで描き込まれていて、
それが快く緊張感を高めています。

[図と地]
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手とカード、つまり図全体を
シルエットにして考えてみましょう。(fig.6_5)
手の右側は、張りのある伸びやかな形であるのに対して、
左側は凹凸のある複雑な形になっています。(fig.6_6)
手の位置を画面右側ギリギリに配置しすることで、
カードを引く動きを強調しています。
また左側の背景を広くとることで、
カードや指の複雑な形のリズムを見やすくしています。

時にはこの例のように、
背景をアンバランスにすることで、
制作意図を明瞭に伝えることができます。

今回でステップアップ・デッサンは、少しの間お休みして、
その間に、これから初めてデッサンしようという人を
応援するコーナーを開設する予定です。
現在、その準備を進めています。
ステップアップ・デッサン同様、よろしくお願いします。 

byヨゾコブ
by yozokobu | 2010-06-22 01:53 | ステップアップ・デッサン
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