カテゴリ:ステップアップ・デッサン( 13 )
多摩美グラフィック2012年度入試(デッサン)を振り返って
本年度の多摩美術大学グラフィックデザイン学科デッサンの課題は、
以下の通りでした。
『「紙を折る両手」を想定してデッサンしなさい。』
条件は「設定は自由/B3サイズ縦位置使用」でした。


●臨場感のある具体的な「設定」ができること

出題に対してまず意識したいのが、
臨場感のある具体的な設定することです。
条件の「設定は自由とする」というのは
守らなければならない決まりではなく、
積極的に取り組んでほしいという要望なのです。
手で紙を折るという動作の中の美しさについて、
あなたの考えを形にしてほしいということです。
作者は自分の思う美しさを提案するという姿勢が必要です。


●「動作」をデッサンするということ

出題では「折る」という動作が問われています。
もっとも注意したいのは、
すでに折られた紙を漫然と持っている、
という状態になってテーマが曖昧にならないことです。
これは普段からいくつかのパターン(ポーズ)を決めて、
そればかりを繰り返し練習するような方法では、
陥りやすいことです。


今年度本校で実施したいくつかの課題を紹介します。

夏期講習「両手で折り紙を折る状態を想定して描きなさい」
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冬期講習「両手で新聞紙を持つ状態を描きなさい」
入試直前模擬問題「両手で地図を持つ状態を想定して鉛筆デッサンしなさい」
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具体的な設定で、
自然な動作を表現するためには
ただ「紙」という漠然としたイメージではなく、
紙の具体的な性格を定めことが必要です。

普段から自然な動作の中の美しさを
時間をかけて研究することが大切です。







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byヨゾコブ
by yozokobu | 2012-03-14 15:32 | ステップアップ・デッサン
ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第9回(作品 no.6)
「片手とカード」のシリーズは、6作品目の今回が最後になります。
この作品はA3画面枠をとって、
その枠内に描くという方法のものではありませんが、
手をデッサンする上で参考になる点が少なくない作品なので紹介します。

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[アイデア]
この作品はカードを引き抜くような動作をモチーフにしたもので、
特殊な発想のものではありませんが、
動きがたいへん自然に演出されています。
何よりアングルが確かなので、量感やスケール感があります。
(アングル:対象を見る角度/観察者と対象との位置的関係)

[演出:アングルと動き]
下のfig.6_1は観察者の目の高さを示したものです。
fig.6_2は、このポーズの中で正面を向いている部分を赤で囲んだものです。
それに対して、青線で囲んだ部分(カードの面)は、
少し見上げることになります。
そして緑で囲った腕の部分は見下しになります。

このポーズは「逆くの字」型に手首を折り曲げながら、
腕を奥に倒して、傾斜をつけています。
この配慮が、全体の動きをとても自然にしながら、
立体的な印象を高めています。
この作例のように腕を前後に傾斜させ、手首にひねりを加えることは、
自然な動作を演出する上では、基本中の基本と言えます。

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[光の演出]
カードを挟んでいる親指と人差し指の間から、
光が内側に差し込んでいますが、
それはとても大切な働きをしています。
光は中指などを照らして陰影をつくり、
その複雑なコントラストが、視線を引きつけ導きます。
また親指の輪郭部(際)の
コントラストの幅を非常に豊かにして、
存在感を際立たせています。

[描写]
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この作品は全体感が緊密です。
たとえば各部の傾斜は、画面右上に集まり、
全体をまとめてます。(fig.6_3)

fig6._4の赤い丸印は特に盛り上がっている部位を示しています。
そして赤い線は代表的な稜線を示しています。
この作品では、
その盛り上がっているポイントの配置に気を配り、
とても良いバランスで描き込まれていて、
それが快く緊張感を高めています。

[図と地]
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手とカード、つまり図全体を
シルエットにして考えてみましょう。(fig.6_5)
手の右側は、張りのある伸びやかな形であるのに対して、
左側は凹凸のある複雑な形になっています。(fig.6_6)
手の位置を画面右側ギリギリに配置しすることで、
カードを引く動きを強調しています。
また左側の背景を広くとることで、
カードや指の複雑な形のリズムを見やすくしています。

時にはこの例のように、
背景をアンバランスにすることで、
制作意図を明瞭に伝えることができます。

今回でステップアップ・デッサンは、少しの間お休みして、
その間に、これから初めてデッサンしようという人を
応援するコーナーを開設する予定です。
現在、その準備を進めています。
ステップアップ・デッサン同様、よろしくお願いします。 

byヨゾコブ
by yozokobu | 2010-06-22 01:53 | ステップアップ・デッサン
ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第8回(作品 no.5)
B3画用紙の中央にA3画面枠をとり、その枠内に
「カードを持った片手」を配置して描くシリーズの5作品目です。
今回はカードを真横から見るというアイデアの作品を紹介します。
真横と真正面だけの構成でありながら、動きを感じさせる作品です。

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by yozokobu | 2010-06-14 21:56 | ステップアップ・デッサン
ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第7回(作品 no.4)
今回は画面感覚に優れた作品を紹介します。
真横から現れた手は、しなやかに波打ちながら
画面を横切って伸びています。
視線は腕から指先、カードを経由して、床面の影を伝わり、
背景の奥のほうに導かれます。

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by yozokobu | 2010-06-06 14:59 | ステップアップ・デッサン
ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第6回(作品 no.3)
今回の作品は、手とカードの関わり方や形の変化を
一筋の流れの中に一気にまとめた作品です。
この作品のアイデアは、手の形とカードの形の凹凸を
反転させたところに面白みがあります。

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by yozokobu | 2010-05-30 10:03 | ステップアップ・デッサン
ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第5回(作品 no.2)
「手とカード」シリーズの2作品目の今回は、
カードを水平に持つ、というアイデアの作品です。
設定が明解で構築的な印象の作品ですが、
随所に繊細な配慮がなされた秀作です。

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by yozokobu | 2010-05-23 16:21 | ステップアップ・デッサン
ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第4回(作品 no.1)
今回からは、さきに紹介した6点の作(「手とカード」シリーズ)について、
さらに掘り下げて見ていきましょう。
少し文章が長くなりますが、その中から参考になることが一つでもあって、
今後の制作に役立てば幸いです。

まず最初のこの作品は、二本の指でカードを挟み込むように支えています。
手が画面左下からぬっと立ち上がって、
大きく広がろう、膨らまそうとする動きで、
拡張感・膨張感の強いポーズをなっています。
手とカードとの関わらせ方=アイデアが明解で、
無駄がなく、力強い作品になっています。

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by yozokobu | 2010-05-16 10:01 | ステップアップ・デッサン
ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第3回
第3回目の今回からは、実際の実習で描かれた学生作品の中から、
下の6点の作例をお借りして、解説を加えて紹介していきます。
モチーフはすべて「片手で一枚のカードを持つ状態」で、
B3画用紙の中央にA3画面枠をとって、
その枠内に鉛筆デッサンしています。

6点それぞれの発想(狙い・制作意図)と構図の効果を
比較しながら詳しく解説していきますが、その前に、
今回はカードの持ち方に対する「発想」や「着眼」について、
まず簡単に比較しておきましょう。

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by yozokobu | 2010-05-09 03:40 | ステップアップ・デッサン
ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第2回
第2回目の今回は、ポーズの考え方について解説します。
まず描かれた形が「手らしく感じられる」ように工夫したいと思います。
そのためにはまず、手の「動き」を意識してください。
ポーズを決めるときは、実際に何かしらの動作を与えるように考えると、
手の形に性格が現れ、手らしい印象になります。

実は描きやすさの点から言っても、動きは大切です。
ポーズに動きがないと、表情も少ないので描きどころがなく、
構造も曖昧で、調子の展開も分かりづらくなります。

慣れないうちは、指の形にばかりを意識がしがちですが、
腕と手のひらが一直線に伸びた状態では、
なかなか手らしい印象にはなりません。
具体的には、まず手首にちょっとした変化を与えます。
つまり少しひねったり、反ったり曲げたりといった動きをつけます。

このことを練習するメソッドとして、
代ゼミ造形学校では、様々な実習を取り入れていますが、
その一例を紹介します。
下の2作例は、釣り用の大きめのオモリにタコ糸を通して、
ぶら下げるように持つ状態をモチーフにしたものです。
この演習には3つの効用があります。
●1つは手首にしなやかなひねりが生じること。
●2つ目は緊張の流れがはっきり意識できること。
●3つ目はオモリがぶら下がる鉛直(垂直)が意識されるので、
 空間構造を把握しやすいこと。
以上のことから、ポーズをどのようにつければよいのか、
見当がつかない場合などには、
この演習を何度か繰り返してみることをお勧めします。
手らしい自然な動きや描きやすいポーズの感じがつかめると思います。

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by yozokobu | 2010-05-02 09:44 | ステップアップ・デッサン
ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第1回
この演習は画用紙の中央に画面枠をとり、
その枠内に「片手」を配置して鉛筆デッサンするというものです。
演習の主な目的は、画面に対して、
適切な「手」の大きさ、入れ方(配置)を実践することです。
画面枠をとることで、ほぼ100%の人に
構図(大きさや入れ方)の改善が認められます。
ぜひ試してみて、適切な配置の感覚を知ってください。

経験がある上級者にもおすすめできます。
構図の精度を高めるのはもちろん、
制作意図と構図の効果をすりあわせて完成度を高めたり、
制作プロセスを見直す場合にも役立つはずです。

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by yozokobu | 2010-04-26 10:25 | ステップアップ・デッサン