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ヨゼミ・メソッド2 「片手のデッサン」第2回
第2回目の今回は、ポーズの考え方について解説します。
まず描かれた形が「手らしく感じられる」ように工夫したいと思います。
そのためにはまず、手の「動き」を意識してください。
ポーズを決めるときは、実際に何かしらの動作を与えるように考えると、
手の形に性格が現れ、手らしい印象になります。

実は描きやすさの点から言っても、動きは大切です。
ポーズに動きがないと、表情も少ないので描きどころがなく、
構造も曖昧で、調子の展開も分かりづらくなります。

慣れないうちは、指の形にばかりを意識がしがちですが、
腕と手のひらが一直線に伸びた状態では、
なかなか手らしい印象にはなりません。
具体的には、まず手首にちょっとした変化を与えます。
つまり少しひねったり、反ったり曲げたりといった動きをつけます。

このことを練習するメソッドとして、
代ゼミ造形学校では、様々な実習を取り入れていますが、
その一例を紹介します。
下の2作例は、釣り用の大きめのオモリにタコ糸を通して、
ぶら下げるように持つ状態をモチーフにしたものです。
この演習には3つの効用があります。
●1つは手首にしなやかなひねりが生じること。
●2つ目は緊張の流れがはっきり意識できること。
●3つ目はオモリがぶら下がる鉛直(垂直)が意識されるので、
 空間構造を把握しやすいこと。
以上のことから、ポーズをどのようにつければよいのか、
見当がつかない場合などには、
この演習を何度か繰り返してみることをお勧めします。
手らしい自然な動きや描きやすいポーズの感じがつかめると思います。

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手を見る角度を選ぶことにも関係することですが、
働いている指と、そうでない指を区別し、それが分かるように心掛けてください。
力が入っていたり、緊張していたりする指に対して、
緩んでいる指があると、全体の印象がとても自然になります。

動きを伴うポーズには、緊張の流れのような稜線が現れます。
これは構図上の背骨になるものですが、最初はそこまで考えることはありません。
ただ、背景の面積や形のことを、いつもより少し注意してください。

下の2作例の背景を簡単に比べてみましょう。
左のものは一つの長方形と大小2つの直角三角形の組み合わせで、
構造的にしっかりした感じです。
右側のものは、すき間(背景)の面積にとても差があり、
画面の真ん中が空いていて、
全体が緩やかに波打つように連続しています。
このように、背景の形は画面全体の動勢に直結しています。
クロッキー帳などにアイデアスケッチ(エスキース)をするとき、
背景部分を黒く塗りつぶしてみると、構図の効果が分かるかもしれません。
エスキースをするときは、地(背景)と図(手)を
はっきり分けてみることも必要です。是非試してみてください。

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次回の第3回目からは、
「片手でカードを持つ状態」をモチーフにした6作品について、
その発想と演出を中心に、1点ずつ詳しく解説していく予定です。
作例はそれぞれが異なった発想をしていて、
そのテーマに沿って構図が選ばれています。
手のデッサンの基本的な考え方が理解できると思います。



byヨゾコブ
by yozokobu | 2010-05-02 09:44 | ステップアップ・デッサン
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